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自分をふりかえって

  • 執筆者の写真: cvv
    cvv
  • 2008年9月25日
  • 読了時間: 3分

 私は、施設で18年間すごしてきた。乳児院を含めると、私の人生ほとんどが施設暮らしである。小学生の頃は、小学校のクラスメイトの誰もが、私が施設で生活しているということを知っていたので、“差別”されるということは一度もなかった。しかし、中学生になってからは、施設で生活していることを知らない友達もいて、「私は、施設で生活しています。」となかなか言うことができなかった。差別されるんじゃないか、いじめられるのではないかという思いがあったからだ。友達等人間関係を作るということについても、とても緊張していたように思う。施設で生活しているということを友達に話さないことで、テレビの話しが盛り上がらなかったり、なぜ携帯を持ってないのという友達からの質問に、毎回「なんて言おう」と困ってしまった。


 小、中、高を通して、とても嫌だった話しの内容の1つが「家族」について聞かれることだった。「お母さんは何歳?」、「お母さん似?、お父さん似?」、「家族は何人いるの?」という質問をされるたびに、適当に答えていた。その時は、なんとかやり通せたとほっとしていたが、その後、「結果的に嘘をついてしまったなー」という思いになり、とても後ろめたい気持ちになった。友達と私との間に違いを感じ、”施設で生活していること”が恥ずかしいと思うようになっていた。新たな人間関係を作る時には、こういったことが常に繰り返されていた。自分自身を恥ずかしいと思うことは、自分自身を否定することに繋がってしまう。自尊心が持てなくなってしまうのである。


 施設で生活しているときは、このような、物質的な問題以上に、精神的な問題がとても大きかったと思う。


 私は、施設を経験した中では、“エリート”らしいが、以前から積極的な性格だったとか、人前で話せたわけでは決してない。施設にただ従順な子どもであった。今とは違いとても内向的で、人見知りだった。私が、今の私として”施設での生活”について人前で話せるようになったのは、私の話しを聞いてくれ、勇気付けてくれる人達に出会ったからである。

 私は、さまざまな人との出会いが今のCVVの活動力に繋がっていると思う。そう考えると、高校1年生の時にカナダの人達と出会ったことや、CVVを一緒に作った仲間たちや、それを支えてくれた人達との出会いは本当に“ラッキー”だったなーと思う。  この人達との出会いがなかったら、今も自尊心が低く(今も高いとは言えないけど…)、自分を否定しつづけているのかなーと思う。

 現在、施設で生活している子どもや施設を退所して生きている若者たちは、話しを聴いてくれる人がいたり、勇気付けてくれる人がいるのだろうか。そして、「自分は生きていてもいいんだ」と思えているだろうか。私は、CVVの活動が、人との出会いが私にとってラッキーと思えたように、彼、彼女たちにとってラッキーな場になって欲しい。


(まどか、CVVニュースレター第3号 2006年6月より)

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